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ミステリの祭典

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華に影 令嬢は帝都に謎を追う
『帝都東京華族少女』」を改題・大幅に加筆修正

作家 永井紗耶子
出版日2014年02月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 kanamori
(2026/03/21 18:11登録)
明治39年の帝都東京。千武男爵家の令嬢・斗輝子は、書生の影森怜司を供に、政府重鎮の黒塚伯爵邸で行われた夜会に当主である祖父の名代として出席した。ところが夜会の最中に黒塚伯爵が何者かに毒殺されてしまう。不当な疑いをかけられた千武家の名誉のため、斗輝子と怜司は、事件の真相を調べ始める………。

2014年の初刊なので、割りと作者の初期の作品を改稿・改題して、2021年に二葉文庫から再販された作品です。
気高く勝ち気な令嬢と不遜ながらイケメンな書生のコンビは、最初のうちは関係性がラブコメの少女漫画やライトノベルのような感じを受けましたが、終盤に差し掛かるとかなり印象が変わります。
謎解きミステリとしては、事件の関係者を訪ね調査を進めるうちに、おぼろげに裏の構図は見えては来るものの、最後の最後に明かされる真相は予想を超えるものです。華族制度と、こういった時代であればこそのトリックと言えるでしょう。作中にしばしば出てくる「婦道の鑑」と言う言葉がポイントと言えるかもしれません。それと「華に影」とは、ある華族の行く末を考えれば、なるほどねーのタイトルで、改題は正解だと思います。

No.1 7点 ALFA
(2026/01/10 07:51登録)
W受賞の「木挽町のあだ討ち」は江戸の芝居小屋、こちらは明治の華族社会。どちらもちゃんと考証してあるのだろうが、江戸に比べてどうにも嘘臭く感じてしまうのはなぜか。
そもそも実際の華族制度なるものが西洋の物真似で、たかだか80年程度の仮想みたいなものだったからか。旧華族で異議のある方はご容赦!

被害者は維新の功労者で、政界の大立物かつ嫌われ者の黒塚伯爵。自ら主催するパーティーの最中に毒殺される。
探偵役は、被害者と因縁のある華族の令嬢千武斗輝子とイケメン書生の影森怜司。

丁寧に伏線が仕掛けてあるから推理する楽しみは十分。ダミーの答は簡単だが真相は難易度が高い。大どんでん返しや大団円ではなく、なるほどね・・・といったエンディング。
出来のいいパズラーなので、わざとらしい舞台設定を呑み込んでしまえば十分楽しめる。

なお被害者黒塚伯爵には実在のモデルがある。酒乱で妻を切り殺したと噂のある黒田清隆でのちに総理大臣になった。

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