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ミステリの祭典

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松本清張編 密輸品
海外推理傑作選4

作家 アンソロジー(国内編集者)
出版日不明
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 人並由真
(2026/01/01 16:26登録)
(ネタバレなし)

 1970年代後半にEQ(ダネイ)が来日した際に、その縁で集英社から刊行された、海外の短編ミステリアンソロジーシリーズ「海外推理傑作選 松本清張編」全6冊の4冊目。
 
 本国版「ヒッチコック・マガジン」系のアンソロジーをベースに日本で組み替えた内容のようで、清張自身のセレクトというのも、たぶん口上のみ(個々の作品を読んでのコメントは本人のものだとは思うが)。
 叢書総体の詳しい情報については、数年前の例の「ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション」に記述があったはずだけど、本の山に埋もれてすぐ出てこない。

 そもそもこの今回のアンソロジーも、もともと全6冊のうち4冊くらい買ってあったハズだが、出先のブックオフで端本が1冊200円の帯付きで3冊あったので、ダブってもいいやと買ってきた。

 で、この4巻『密輸品』の収録作家・作品は以下の通り。

催眠術師 / ヘレン・ニールセン
事実と判決 / オーガスト・デーレス
密輸品 / ジェイムス・ホールディング
骨董品 / ハル・エルソン
満潮 / リチャード・ハードウィック
中身は死体 / C・B・ギルフォード
ある日花咲く庭で / フレッチャー・フローラ
マレーボーンへ3マイル / ヘンリー・スレーサー
感度のいい陪審員 / リチャード・デミング
捨て台詞 / ボーデン・ディール

『マンヴィル(マニー)・ムーン』で旬の話題のデミングを含めて50~70年代当時のヒッチマガジン系作家が大半で、ほぼ全編が活字で読む「ヒッチコック劇場」のようで、面白かった。中ではデーレス(ダーレス)のソーラ・ポンズものだけが異彩だが、これは本国版ヒッチコックマガジンの旧作・再録路線の反映か? 
 そのポンズものも、殺人容疑者に常態的に寛容な裁判官の周辺で起こる謎の裁きの殺人? というテーマで、なかなか面白い。
 ベストは「ああ……」と思わず最後に溜息が出た表題作と、ブラックユーモア&落語のような『中身は死体』。フローラやデミング、ディールも面白い。
 というかハズレがない。スレッサーは少し長めでいつものコンデンス感とはちょっと違うけれど、なんか一時間枠版のアンソロジードラマみたいな感じで、まあこれはこれで佳作以上。

 昔の翻訳ミステリ雑誌、日本版「EQMM」~80年代辺りまでのHMM,日本版「マンハント」、同「ヒッチコックマガジン」さらには「別冊宝石」の一部まで、は、(多少方向性に幅があるとはいえ)こーゆー楽しさを毎月提供してくれたんだよな。
 もうあんな時代は二度と来ないだろう。

 他の巻も読むのが楽しみ。

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