(2026/01/16 05:19登録)
(ネタバレなしです) 1962年発表のキャロラス・ディーンシリーズ第11作の本格派推理小説です。母の昔からの友人であるゴート夫人から彼女が宿泊したゲストハウスで起きた、バルコニーからの墜落死事件のことでキャロラスは相談を受けます。そのゲストハウスでは二ヶ月前にも滞在客が死亡しており、原因は心臓病とされていましたがゴート夫人はゲストハウスに疑惑と陰謀の雰囲気を感じ取っていました。第2章から第8章まではゴート夫人の1人称で語られる日記、第9章以降はキャロラスの捜査という構成です。人物の感情描写がドライなので日記からサスペンスをあまり感じ取ることができないのが惜しいし、どちらの死亡事件も殺人なのかはっきりしない状況が長く続くため謎解きも盛り上がりを欠いていますが、その埋め合わせをするかのように終盤は大袈裟なまでに劇的な展開があります。余談ですがROM叢書版の巻末解説で本書を「ジャックは絞首台に!」(1960年)に続くシリーズ作品と紹介していますが、シリーズ第7作の「ジャックは絞首台に!」と本書の間には「怒れる老婦人」(1960年)、「骨と髭」(1960年)、「狂ったシナリオ」(1961年)があり、正しい紹介ではありません。出版順に読まなくても大丈夫なシリーズではありますが念のため。
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