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ミステリの祭典

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ロッキン・ホース・バレリーナ

作家 大槻ケンヂ
出版日2004年07月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2025/12/15 22:34登録)
その頃の耕助ときたらこの世界の仕組みの何一つ知らなかった。そんな耕助がボーカルを務めるパンクバンドが、初めての全国ツアーに出かけ、ゴスロリ娘を拾った!? 大興奮ロードノベル。
Amazon内容紹介より。

「十八歳で夏でバカだった」
主役の耕助もヒロインの七曲町子も、どいつもこいつも格好悪くはないけれど、心の中に闇を抱えていて、でもどこか微笑ましくて眩しい、そんな青春小説です。東京から始まって舞台は名古屋、京都、大阪、神戸、福岡と全国を巡ります。その土地土地でバンドの三人とマネージャーの得山(38歳)、ピアスを身体中に付けた町子の五人は様々なドラマを演じます。中でも次第に仲を深めていく耕助と町子の二人は両者とも異性と嫌と言うほど経験がありながら、初のデートの時など緊張しまくりで、その辺りは若さというか恋愛経験の浅さが浮き彫りになって初々しさを見せたりします。

疾走感は300ページを超えたところからさらに加速します。そしてバンドの三人が知らない得山の裏工作が徐々に明らかになり・・・。それまで青春まっしぐらだった物語が俄かにキナ臭い大人の世界へと誘われる様は、人生のほろ苦さを感じさせられました。
これはロックなどの音楽を少しでもかじった者への応援歌とも言える作品で、特に若い世代にはウケがさぞかし良いだろうなと思わせます。国内外の有名アーティスト名や名曲の名前が出て来るところも作者ならではと言えましょう。犬神サーカス団(現・犬神サアカス團)以外は実名で記されています。ちなみに文庫では犬神が猫神となっています。何らかの事情があっての事と思いますが、多分単行本では犬神サーカス団そのままの表記になっていると思います。

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