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ミステリの祭典

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悲鳴

作家 櫛木理宇
出版日2025年08月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2025/12/01 22:21登録)
サチは美しく利発な少女だった。
だが彼女は誘拐され、何年も男に監禁された。
教育を、青春を奪われ、子を産まされ……けれどようやく事件は発覚し、生還を果たし た。
Amazon内容紹介より。

悪くはないんだけれど、何と言うかえぐみが足りない気がしました。もっとグロさを前面に押し出しても良かったのではないかと。まあ書きたい事は分かります。閉鎖された村の古い因習がまだまだ幅を利かせている中で、女性はどう生きるのかがテーマとなっています。後半まで子供であるサチの心理状態を執拗に描き切り、監禁された少女の一挙手一投足を細かく描写しています。それ以降は一転、夫を持つ美幸という女性の内面をこれまた丹念に抉り出しています。

ただ真相が貧弱で、上述の二人を結ぶ糸が余りに細すぎて、全てが白日の下に晒されてもああそう位にしか思えませんでした。その辺りの構成が歪で、二つの話を無理やりくっ付けた感じで違和感が拭えません。内容の割には緊迫した空気や陰湿さが感じられず、期待外れでした。

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