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ミステリの祭典

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不等辺五角形

作家 貫井徳郎
出版日2025年06月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 HORNET
(2025/11/16 21:10登録)
 重成、聡也、梨愛、夏澄、雛乃ら5人の男女は、インターナショナルスクールで出会って以来20年以上の付き合い。30歳を間近に控えた5人は、仕事で海外赴任することになった重成の送別も兼ねて、久しぶりに聡也の別荘で会うことになった。だがそこで深夜、雛乃が頭を殴られて殺害される悲劇が起きる。驚愕する仲間を前に、梨愛が「私が殺した」と告げ、警察に連行されていく。逮捕後も殺害の動機を語ろうとしない梨愛。弁護士は、残された重成、聡也、夏澄に話を聞いて回るが、証言を重ねるごとに5人の人物像と関係性は変貌していく。果たして5人の間には、本当は何があったのか――。



<ネタバレ>
 弁護士の聴取に対する、重成、聡也、夏澄3人の証言が二回り描かれ、最後に梨愛の「独白」で物語は幕を閉じる。
 そこで真相が「ある程度」語られるのだが、完全に明示した書き方ではなく、読者に推理の余地を残しているようにも感じる。それまでの3人の証言の中にやたらと事件の本筋から離れる「エピソード」が多く挿入され、その中に伏線があるのだが、数多くエピソードをバラまくことで本線を埋もれさせる戦術のようでもあるし、複数の真実を生み出す(いわゆる多重解決?)仕組みのようでもある。
 私は私なりに真相にたどり着いたつもりだが、ひょっとして他の読者と話したら違う解釈がされているかもしれない。重要エピソードっぽいのが後出しな感じなのは気になったが、総合的にはかなり楽しめた。

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