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ミステリの祭典

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AKIRA
漫画

作家 大友克洋
出版日1984年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 クリスティ再読
(2025/11/03 23:28登録)
さて国産サイバーパンクを語る上では絶対に外せない作品だから、懸案みたいに感じていた。すまぬ評者あまり大友克洋にハマってなかったんだ。映画は見たけどリアルタイムではそれほど関心がなかったなあ。ヤングマガジンに連載されていたから追ってなくても絵は見ていたりしたわけだけどもね。ニューエイジ色が強いのを何となく敬遠したんだな。

以前1)サイバースペース、2)パンク要素、3)ジャポニズム、のサイバーパンク3要素としてまとめたことがあるけど、本作ではサイバースペースは出ないし、日本が舞台とはいえ瓦礫ばっかりでジャポニズムは希薄。「パンクSF」と呼んだ方がいいんじゃないのかな。事実上、超能力バトル物だよ。金田を中心とするパンクスたちとケイたちゲリラが、大佐のグループとミヤコ教勢力、そしてもともと金田の仲間だが超能力を得たことで暴走する鉄雄が、ナンバーズと呼ばれる超能力者とアキラを巡って集団抗争する話である。

もちろん最大のウリは大友の繊細で緻密、でもスケール感のある作画術。話はキャラが次第に自分で動いていくのを待つ、というスタイル。だからプロットが緻密というわけではなくて、結構イキオイという印象。3巻末でアキラが解放されてネオ東京が滅亡し、アキラと鉄雄が組むことで話が前後に二分されたことにもなる。一旦話がリセットされている感覚。中盤に金田がそのままでは動かしづらくなったのかな?

だから画力や廃墟イメージが一番のポイント。未来らしくない荒廃した未来像に新しさがあったわけだ。「バイオレンス・ジャック」とか「マッドマックス2」の世界。考えてみれば設定年代が2020年だから、もうAKIRAも過去になってしまったわけだ。

個人的にはミヤコさまの敢闘精神が好きだなあ(苦笑)

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