home

ミステリの祭典

login
踊りつかれて

作家 塩田武士
出版日2025年05月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 みりん
(2025/11/01 09:52登録)
今年も新刊を読む時期ですね。今年該当作なしだった直木賞の候補作のひとつですが、個人的にはイマイチでした。
まず、前半はSNSの誹謗中傷問題だったのに、後半は誹謗中傷された歌手と音楽プロデューサーの人間ドラマへと変わり、テーマがブレていると思う。
ページのほとんどを占めるのが弁護士久代による瀬尾周辺の人間関係の調査。だが、瀬尾がただひたすら善人であることを強調するだけで、SNSの誹謗中傷という問題がいつまで経っても着地しない。この問題は、物語の中〜終盤に登場人物の直接的なセリフによって触れられるのみで終わる
誹謗中傷する側を過度に嫌悪感のある造形に仕立て上げ、報復とはいえ個人情報を晒した瀬尾を聖人として描く事は、勧善懲悪のヒーロー物として自分の目には映ってしまい、せっかくの問題提起を単純化させてしまっている。前半が面白かっただけにもったいない。

素人の癖にネットの隅っこで偉そうに作品を批評して、「5点」とかつけている奴も立派な「安全圏のスナイパー」なのだろうな

1レコード表示中です 書評