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ミステリの祭典

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19号室
トム・バビロンシリーズ

作家 マルク・ラーベ
出版日2025年02月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 HORNET
(2025/11/03 21:05登録)
 ベルリン国際映画祭の開会式。華々しい式典のオープニングで全観客の前に映し出されたのは、若い女性の殺害シーンだった。映像の終わりに流れた声は「次はおまえらの番だ」。映像で殺害されている女性はベルリン市長の娘。この映像はフェイクなのか?本物なのか?ベルリン州刑事局刑事のトム・バビロンは、臨床心理士のジータとともに半信半疑のまま捜査に乗り出すが、その先では次の殺人が起き―

 「17の鍵」に続くトム・バビロンのシリーズ。読み慣れたからか、前作よりは読み易い印象。今回は、トムの相棒、五厘刈りの美女・ジータの過去がストーリーに絡んできて、随時回想場面が挿入されるが、混乱は来たさずに読めた。




<ネタバレ>
 結局このシリーズは、前作から引き続き旧東ドイツの「強制養子縁組」を元凶とするところに基軸を置いている。上にも書いたが、前作の予備知識があった(しかもあまり間を置かずに読んだ)から割とスムーズに理解が進んだが、かなり「シリーズを続けて読む人」に向けたものになっている。
 少年時代に共に死線を乗り越え、今もトムと悪縁が続くベネが、別の場でジータとも強いかかわりをもっていた、というのは過ぎた偶然な気はするが…ドイツ(旧東ドイツ)ってそんな狭いのか??
 手がかりから真相を読み解くというよりは、「実はこんな隠れた背景があったのだ」という暴露的な真相解明。意外性はあって面白いが。
 次に続くことが明白な終わり方。ここまで来たら、読まないわけにはいかないか…

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