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ミステリの祭典

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17の鍵
トム・バビロンシリーズ

作家 マルク・ラーベ
出版日2025年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 HORNET
(2025/10/18 18:31登録)
 早朝のベルリン大聖堂で、丸天井の下に吊り下げられた女性牧師の死体が派遣された。現場に出向いたベルリン州刑事局のトム・バビロン刑事は、遺体の首にかけられた、カバーに「17」と刻まれた鍵を見て驚愕する。なぜならそれは、トムが少年の頃に仲間と川で見つけた死体のそばにあった鍵であり、こっそり持ち出したことで紛失していたものだったからだ―





<ネタバレ>
 劇場的な事件の幕開けから、主人公・トムの子供時代の回想と行き来する展開は確かに飽きが来ず、リーダビリティは高い。首席警部・モルテンの裏事情も入り組んできて、だんだん複雑になってはいくものの帯にある「読む手が止まらない!」の謳い文句もあながち的外れではない。
 ただ、ミステリとしては…と考えると、評価は微妙かも。550ページに及ぶ厚みのある作品ながら、終盤400ページを超えてから旧東ドイツの「強制養子縁組」の話だの、シュターンスドルフでの火事の話だの、新たな過去の話が唐突に出てきて、それが真相解明への大きな舵になっていく。広げた伏線の多さと、終盤になって急に提示される諸要素に混乱してきて、こんがらがるとともにだんだん理解が面倒になってきてしまった。
 最後は、続編を前提とした(また)新たな登場人物の登場で締め。勢いで次の「19号室」といっぺんに入手したが、これが吉と出るのか、凶と出るのか…
 ところで、プロローグで描かれている、オルガン奏者を誘惑した女性というのは結局誰で、なんだったんだ?

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