(2026/04/13 21:22登録)
(ネタバレなしです) 2023年発表のアイリス・スパークス&グウェンドリン(グウェン)・ベインブリッジシリーズ第5作です。デビュー作の「ロンドン謎解き結婚相談所」(2014年)の作中時代は1946年でしたが本書の作中時代もまだ1946年で、あまりに短い期間に次々に殺人事件に巻き込まれる設定には思わず笑ってしまいました。英語原題は「Lady from Burma」で、ライト・ソート結婚相談所の新しい顧客の1人がビルマ(現在のミャンマー)出身であることに由来します。不治の病に冒されている彼女の依頼は自分の死後に夫に新たな伴侶を見つけてほしいという風変わりなもので、しかもその後謎めいた死を遂げます。なかなか興味深い事件ですが作者が力を入れたのはグウェンのプライヴェート問題の方で、精神疾患者という社会的レッテルを変更するための苦闘がたっぷりと描かれる上に新たな事件に巻き込まれてサスペンスが盛り上がります。シリーズ前作の「ワインレッドの追跡者」(2022年)のスパイ・スリラー要素はなく、どちらかといえば「疑惑の入会者」(2021年)に近い作風に感じました。本格派推理小説としては物証の少ない推理ですが、目まぐるしい展開の中で混乱しながらもグウェンが気づいた「筋が通らない」行動は手掛かりとして印象的でした。
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