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ミステリの祭典

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マーダーでミステリーな勇者たち

作家 火海坂猫
出版日2024年02月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 人並由真
(2025/09/30 08:25登録)
(ネタバレなし)
 とある異世界。その大陸は大別して三つの国家に分割されていたが、そこに魔王率いる魔族が襲い来る。三国家共通の宗教組織「教会」の秘宝「聖剣」によって「勇者」に選ばれた若者。彼は、三つの国家そして教会がそれぞれひとりずつ選抜した少女、そして故郷の村の幼なじみの娘、計5人の女子とともに魔王討伐に赴き、見事に本懐を果たす。だがその直後、身内の誰かの凶行としか思えない状況で、仲間の一人の少女が殺された!?

 ブックオフの200円棚で帯付きの美本が出ていたので、タイトルとあらすじの設定に惹かれて購入してみる。

 で、読了後にAmazonの現行のレビューを見るとものの見事にけちょんけちょんで、確かに誤植はあちこち目立つ。そのAmazonの評で指摘されてる、くだんの冒頭1ページ目の大設定に関わる部分もそうだが、途中で「××は心外だが」が正しいところ「侵害」になってたりする。
 どこの出版社でも新刊の小説には作者の名前と併記して、担当編集の名前を奥付に明記するようにすればいいと思う(やってるところもあるが、多くはない印象)。そうすればこの手の無責任なミスも、少しは減るであろう。

 ミステリとしてはけっこう緩めで、版元が喧伝してるほどのサプライズもトリックもないが(ギミックは……一応あるかな)、舞台装置の設定、異世界の世界観の作り込みなどはなかなか良かった(複数の国家連携の人類の敵・魔王退治という懸案に、なぜ少数の男子女子しか動員されないか、のイクスキューズなど)。
 初めて読む作者だが理屈付けにはこだわるタイプの書き手のようで、その辺は長所といえるだろう。

 ラストはアレといえばアレだが、作者は当初からそういうものを、と言っているので文句には当たらない。
 結局、ラノベ枠のミステリというよりは、ミステリ風味のラノベ、だったけど、まあいいや。評点は0.5点オマケ。

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