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ミステリの祭典

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緋色の十字章 (警察署長ブルーノ)
警察署長ブルーノ

作家 マーティン・ウォーカー
出版日2011年11月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 E-BANKER
(2025/10/11 12:28登録)
またまた作者の初読みである(最近割と多いな)。
舞台はフランスの田舎町。主役はそこの田舎警察の署長。つまり、普段は平和に慣れ切ってる街で起こる事件・・・である。
2008年の発表。

~名物はフォアグラ、トリュフ、胡桃。風光明媚なフランスの小村で、のどかな村を揺るがす大事件が発生する。戦功十字章を授与された英雄である老人が、腹部を裂かれ、胸にナチスの鉤十字を刻まれて殺害されたのだ。村でただひとりの警官にして警察署長のブルーノは、平穏な村を取り戻すべく初めての殺人事件の捜査に挑む。英国のベテランジャーナリストが描く清新な警察ミステリ~

"緋色の”っていうと、どうしても「緋色の研究」を思い出してしまう。ただ、まったく関係なかったな・・・
本作は、実に「生真面目な」警察小説だった。警察小説といっても、舞台はフランス南部の超田舎町。警察署長といっても、他に部下署員はひとりもいない! まさに”ワンオペ”!
なので、捜査の過程で刑事たちが互いの主張をぶつけ合う・・・なんてことも起きない。
パリからやってきた、いけ好かない「エリート検事」との軋轢なんてのはありますが。

ストーリーの軸は、「被害者がなぜナチスドイツを想起させる鉤十字の印を付けて殺害されたのか?」という点。
そこに現代フランスが抱えている社会問題が関係してくる。
社会問題とは、「移民問題」である。日本でも最近外国人問題が急浮上している気がするけれど、ヨーロッパではとっくの昔からこの問題が大きく横たわっている。
元新聞記者の作者ということらしく、社会派的なプロットということなんだろうけど、そこまで暗くジメジメしてないので、そこはご安心を。
それよりも、フランス南部の美しい自然や、旨そうな料理の数々、といった描写が多く、そこに警察署長=ブルーノのラブロマンスも関わってくる・・・

事件の真相は・・・読者が推理できるようなものではないし、解決の方法(解決してるのか?)も含めて拍子抜けの感はあるけれど、まあこれはこれでクドクド不満を述べないことにする。
ミステリ、警察小説などと肩肘張らず、半分旅行案内書的に気楽に読むほうがよい。(じゃあ、トラベル・ミステリ?)
シリーズは他に2作あるとのことだけど、うーん。読むかな? そこは微妙。

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