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ミステリの祭典

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スワイプ厳禁 変死した大学生のスマホ

作家 知念実希人
出版日2025年08月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 斎藤警部
(2025/09/24 00:24登録)
スマホみたいな本。 縦/横/厚さもスマホサイズ。 表紙も裏もスマホ風。
開いてみると、左頁に文章、右頁はスマホの画面になっている。

大学サークル 「オカルト研究会」 迷惑系OBの強要で、ネットに拡がる都市伝説 “ドウメキ” なるエンティティの調査を任せられ、不承不承スマホ片手に乗り出す主人公のダーク・アドヴェンチャー。
かなりホラー寄りの雰囲気芬々だが、ホラー感覚欠如の自分でも、この斬新なギミックのポテンシャルを活かした行方知れずのサスペンスは大いに堪能出来た。
廃墟だの変死体だの、監視だの毒を盛るだの ・・・ じわじわ “ドウメキ” に追いつめられる主人公。

「それなら眠れるように お薬を打ちましょうね」

結末が良い。
最終的に◯つの反転と、反転含めて◯つのオチで締めくくられる話だと思うのだが、うち◯つのオチは、ちょっとしたスマホ軸の社会批評になっているのかな。
残り◯つのアレには ・・ 見事にやられました。 最初の方に伏線というか大胆過ぎるヒントが仕込まれてあったのにい~~ やっぱり書き方、見せ方、勢いの付け方が上手いんだね。 露と疑いもしなかった。
社会批評的な側面と、驚きのアレと、どちらに重きを置くか。 それは読者次第ってやつですかね。

あっという間に読めてしまうんで、最初は ‘はー、なーるほどね’ ってくらいだったけど、後からじわりじわりと来るのですよ。 
特にその、アレの効用が意外と深いところまで効いたみたいだぜ?

おっと、重さだけは、スマホより(物理的に)軽い本なんだぜ?

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