home

ミステリの祭典

login
童提灯

作家 黒史郎
出版日2015年08月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2025/08/27 22:25登録)
アザコは十(とお)ほどの子供にしか見えなかった。
けれども、貧しい漁村に生まれてから二十年を生きていた。
穢れを知らぬ生娘のように見えたが、アザコは男であり、
とっくに父親に穢されていた。
父に捨てられたアザコは山中を彷徨い不思議な爺と出会う。
やがて爺の後を継ぎ、鬼のための提灯を作るようになる。
子供の身体全てを材料とする「童提灯」を・・・。
Amazon内容紹介より。

全体的にトーンは陰湿で、グロや汚れた要素が満載です。それを平板に描かれている為、それ程嫌悪感は覚えません。単行本で380頁、普通かなと思っていたら二段組みで文字びっしりなので、文庫本相当だと感覚的には600ページを超えています。その上難読漢字や当て字が多く、読み易いとは言い難くかなり苦労しました。

最初の印象はまずまず悪くなく、このままの感じで進んでくれればと思いましたが、そうは問屋が卸しません。折角のキャラを捨て駒にして、ああ勿体ないなあと思ったり、女っ気が全然ないのにも暑苦しさを感じたりしました。所々にこれは、と思う様なエピソードがありましたが、描写に情感が不足しているので、あまり面白くは読めませんでした。文体が合わなかったと簡単に言えばそうなります。ただ一部のファンには受けると思います。出来としてはまずまずとしか言いようがありませんね。

1レコード表示中です 書評