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ミステリの祭典

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亡霊の烏
八咫烏シリーズ

作家 阿部智里
出版日2025年03月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 虫暮部
(2025/08/26 14:46登録)
 凪彦が蛍を切り捨てて強権支配に走るか、と一瞬思った(期待した)んだけど……。
 立場によって正しさは違い、しかも正しさだけで生きられるわけでもない。対立する価値観をそれぞれ深掘りし、それに応じて脇役にも肌理細かくキャラ付けして舞台を広げる。故にその作品世界は雑多な生命力を生き生きと感じさせるのだか、反面、物語のダイナミズムが犠牲になって展開が遅いのも否めない。
 と言う、リアル・タイムで追いかけるのがまどろっこしいシリーズになって来たなぁ。後追いで纏めて読める人が羨ましい。
 ここ数巻の流れを振り返るに、雪哉の転向の契機になった “奈月彦の遺言” が不可解だ、との思いが強まるばかり。

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