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ミステリの祭典

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マザーコード

作家 キャロル・スタイヴァース
出版日2021年04月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 糸色女少
(2025/08/12 21:20登録)
二〇五〇~六〇年代の近未来を舞台に、暴走したバイオ兵器が人類を破滅させていく様を描き出すパンデミックSF。
物語の発端は二〇四九年。アメリカはIC=NANと呼ばれる生物兵器を開発、運用していた。人間が吸い込むと細胞のアポトーシスが発生しなくなり、数週間で確実な死に至る。本来、人から人への感染はあり得ないはずだったが、古細菌がNANを取り込むことで自己複製が可能となり、瞬く間に人類に広がっていってしまう。
ワクチンも効かず、凄まじい勢いで感染拡大をする中、既存の人類を改変する時間はなく、研究者らは遺伝子改変を施した新世代の子供たちと、現代人類が消えた後に彼らの世話をするマザーAIの構築にリソースを振り分け、二〇五〇年代のパンデミック対抗と、新世代の少年少女たちの冒険を描くパートが交互に語られていく。新世代パートは単調で精彩を欠く面もあるが、AIと新世代の人間が強く結びつく新しい関係性を描き出していて、AIテーマの作品として満足させてくれる。

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