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ミステリの祭典

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霊感インテグレーション

作家 新名智
出版日2025年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 虫暮部
(2025/08/09 13:01登録)
 “お供え物をしないとアプリの不具合報告が増える” の真相は見事で、泡坂妻夫の逆説みたいだと思った。但し、全体として前半の謎の真相は割と想定内。世界観も斬新と言う程ではない。

 後半、具体的には六地蔵の山道を上るあたりから一気に怖く面白くなった。
 のは良いがイマイチ腑に落ちない。
 “当主になると短命” & “最後の一人は生き延びる” の場合、自分が死にたくなければ “子供を作らない” が最善手。当主が死んだら、残った家族は敵同士である。そういう家に嫁ぐ人もそういないだろって気もする。
 そんな状況で月日が経てば、この一族は、先細りした本家分家間で当主の座を押し付け合うことになる。つまり、作中の “現在” のような状況にもっと早いうちに至っているのではないか。
 でも人はそこまで理性的には振舞えないかな。“当主を供給” 方式は、変な形で “呪いとの共存” が出来てはいるよね。金はあったわけだし、非道を承知の協力者もいたのだろう。怯えていながら、家系の存続も捨てられなかったのだろうか。
 決定的矛盾ではないが、グレー・ゾーンで押し切られた気分。うーむ。

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