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ミステリの祭典

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修道女フィデルマの慧眼
修道女フィデルマ

作家 ピーター・トレメイン
出版日2025年08月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2025/10/29 05:47登録)
(ネタバレなしです) 修道女フィデルマシリーズの英国本国での第2短編集「死者の囁き」(2004年)は15のシリーズ短編を収めていますが、国内の創元推理文庫版は5作づつの3分冊形式で出版されました。「修道女フィデルマの挑戦」、「修道女フィデルマの采配」、そして本書で「死者の囁き」の全先品を読むことができます。なお「修道女フィデルマの挑戦」では「死者の囁き」に収められていない短編「化粧ポウチ」がおまけ追加されています。さて本書の5作品ですがフィデルマのドーリイ(法廷弁護士)ならではの活躍を描いていますが法廷場面はなく、普通の本格派推理小説の探偵役です。論理にこだわっていながらも推理が甘く、例えばある作品では犯人が嘘をついたと説明していますが嘘の証明が不十分だったりしています。とはいえシンプルなプロットで読みやすい作品が揃っており十分に楽しめました。全作品が英国のアンソロジーに選ばれているのも納得です。代表作を選ぶなら犯人当ての謎解きにトリックの謎解きを上手く絡めた「夜の黄金」(2002年)を個人的には勧めます。飲酒に関する皮肉も面白いです。

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