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ミステリの祭典

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九段下駅 或いはナインス・ステップ・ステーション

作家 マルカ・オールダー
出版日2022年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 糸色女少
(2025/07/08 21:55登録)
二〇三三年の日本は震災と中国の侵攻により大きな打撃を受けており、東京の西側は中国に支配され、東側はアメリカの管轄下にある。東側の九段下にある東京警視庁本部の是枝都警部補は、ある殺人事件をめぐって、警視庁に出向してきたアメリカ軍のエマ・ヒガシ中尉との合同捜査を命じられた。
最初は微妙な距離感があった都とエマがバディとしての信頼感を深めていく周囲では、日米中それぞれの思惑が交錯し、国粋主義政党・レジスタンス・巨大暴力団の影も見え隠れする中で、中国側の警察官と合同捜査しなければならない局面にも突き当たる。
特殊な刺青が施された身元不明の片腕の発見、亡命者による殺人など、この特異は近未来社会ならではの事件が連続した果て、最後の第九話と第十話では、戦争状態に置いて刑事のなすべきことを貫けるかどうかが問われる。細部のリアリティが不穏なサスペンスを盛り上げるSFミステリ。

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