(2015/05/12 08:33登録)
(ネタバレなしです) ヴィッキーシリーズ第3作でシリーズ最終作となった2004年発表の本格派推理小説です。過去の2作は王道的な謎解きミステリーでしたが本書はそのイメージを破壊するような趣向があって、そこが評価を二分することになると思います。二通りの読み方が楽しめるという斬新なプロットが用意されています。「Aの読み方」はページを順番に読んでいきます。「Bの読み方」は作者の指示に従って途中をいくつか飛ばしながら読んでいきます。私は「Bの読み方」から始めましたが、読後の感想は、独立した2つの事件をヴィッキーが普通に解決する普通の本格派推理小説でした。問題は「Aの読み方」で、どうもこれは(私は定義を十分に理解していないのですが)メタ・ミステリーをねらったようです。何を書いてもネタバレになりそうですが、ヴィッキーが小説世界(結構現実離れした世界)に飛び込んでその世界のヴィッキーと共に謎解きに挑むというものです。しかも「Bの読み方」で読む章と交互に読んでいくという、現実と虚構の描写が入り乱れ状態なのでかなり読みにくいです。結末のつけ方も合理的とか現実的とかとは程遠く、マニア読者向けかと思います。
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