home

ミステリの祭典

login
検察官の遺言

作家 紫金陳
出版日2024年01月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 YMY
(2025/06/24 21:24登録)
二〇一三年、地下鉄の駅で不審な男が拘束される。所持していたスーツケースを警官が開けると、中には全裸死体が。捕まった男は刑事弁護士で、遺体は検察官。お互い十年来の知り合いだったが、関係がこじれ殺害、死体遺棄を試みたという。ところが後日の法廷で犯人の刑事弁護士が証言を翻し、突然無罪を主張する。この不可解な行動の裏には、どのような意図が秘められているのか。
真相を追わずにいられないインパクト抜群の謎を起点に、悪しき階級、序列社会、腐敗した社会の闇が、正しき者たちを冒していく痛ましさには胸を痛めずにはいられない。だが本作は、非情な現実を暴き、読み手に突きつけるだけの作品ではない。悪に屈することなく、戦いを挑む者たちの人生を映した胸を熱くさせる物語なのだ。

1レコード表示中です 書評