夜が来ると |
---|
作家 | フィオナ・マクファーレン |
---|---|
出版日 | 2015年06月 |
平均点 | 7.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 7点 | YMY | |
(2025/06/04 22:17登録) オーストラリアの海辺で一人暮らす老女のルースのもとに突如現れた大柄な女性フリーダ。自治体から派遣されてきたヘルパーとしてルースの面倒を見始めた彼女に対して、ルースは戸惑いつつも、これまでの人生について語り始める。 宣教師の娘として暮らしたフィジーでの艶めいて光り輝いていた少女時代、父の診療所を手伝いに来た青年医に寄せた淡い思い、亡き夫との日々、そして遠地で暮らす二人の子供たちとの関係。 だが適度な緊張感を保ちつつもゆったりとした日々を過ごしていたルースが、記憶の曖昧さを自覚し始めたあたりから物語は様相を変え始める。それまで折に触れてルースが感じていた。何か切実なことが自分の身に起こりつつあるという逃げ場の無い切迫感が濃密になり、危うい展開から目が離せなくなる。哀しみと幸せ、諦念と執着、そして波乱と平穏がない交ぜとなって胸に迫るサスペンスの逸品。 |