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ミステリの祭典

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人盗り合戦
ネロ・ウルフ

作家 レックス・スタウト
出版日2025年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 nukkam
(2025/10/02 18:26登録)
(ネタバレなしです) 1952年発表のネロ・ウルフシリーズ第15作の本格派推理小説です。英語原題は「Prisoner's Base」で、論創社版の巻末解説によると鬼ごっこタイプのゲームのことのようです。何とウルフの助手であるアーチー・グッドウインが依頼人になります。中編「死にそこねた死体」(1942年)(国内では「ネロ・ウルフの事件簿 アーチー・グッドウィン少佐編」(論創社版)で読めます)という前例はありますが、本書の依頼経緯は全く異なります。前半はやや地味ですが第10章で容疑者全員がウルフの事務所に集まってから最終章までは、これまで私が読んだシリーズ作品では最も劇的な展開だと思います(といっても私はシリーズ作品を半分少々程度しか読んでいないのですけど)。謎解き推理としては粗くて性急に解決したように思いますが、普段はひょうひょうとした感のアーチーにとって悔恨の事件であったことがよく伝わってくる物語として印象に残ります。どちらかというと対立的関係の警察にまでアーチーが協力を仰いでいるのもシリーズとしては異色ですがそれも納得でした。

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