(2025/07/28 17:24登録)
(ネタバレなしです) 英国のドーン・ブルックスは40年近く看護師や助産婦として活動してから作家に転身していて、回想記や児童書も書いています。2018年発表の本書は英語原題が「A Cruise to Murder」で、主人公は婚約者から別れを告げられて傷心状態の警察官レイチェル・プリンスです。豪華客船(3500人の乗客と1800人の乗務員がいます)で看護師をしている友人のサラに誘われて地中海クルーズに参加して事件に巻き込まれます。創元推理文庫版では「親友同士の女性たちが謎に挑むコージーミステリ・シリーズ」と紹介されているので本格派推理小説系かと思いましたがこれはサスペンス小説系ですね。冒頭の登場人物リストに正体不明の殺し屋が載っており、この殺し屋が船客の1人を狙っていることが何度か描かれています。殺人も起こりますが犯人当て要素はなく、犯行阻止(護衛)を目的とするプロットでした。300ページに満たない短さに平明な文章で読みやすいところは確かにコージーミステリーですがメリハリがないのでサスペンスはあまり盛り上がらず、人物描写もそれほど個性を感じません。トラベル・ミステリーとしても物足りません。
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