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ミステリの祭典

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赤い涙

作家 東野司
出版日1988年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 糸色女少
(2025/05/19 22:49登録)
サイバーパンクを基調とした五つの短編が収録されている。
先端テクノロジーから着想を得て、シンプルかつエモーショナルなストーリーを描き出しているという点では、SFプロトタイピングの先駆的な作品であると言える。
脳や身体の拡張、身体能力を強化した動物同士を戦わせるブラッド・スポーツ、人工的に生成された愛玩物としての幼児との生活、メンタルサポートロボットの暴走、そうした内容がコミカルに描かれるが、視点は常にアイロニカルであり、ある種のサイバーパンクがもつ享楽主義とは線が引かれている。
テクノロジーの楽しさと危うさが同居しており、いずれの作品にも自然物としての生物に本来備わっている、身体や本能への「信」が貫かれている。

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