凍原 北海道警釧路方面本部刑事第一課・松崎比呂 北海道警釧路方面本部 |
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作家 | 桜木紫乃 |
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出版日 | 2012年06月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 6点 | 臣 | |
(2025/05/05 08:49登録) 性愛小説を得意とする直木賞作家が書いた本格ミステリー。 シリーズ作品としては、『氷の轍』というのがある。 舞台は釧路(湿原)、樺太など。巻頭にはしっかりとした地図も掲載されている。 主人公の松崎比呂は、1992年に湿原の谷地眼(やちまなこ)に落ちたとされ、行方不明になっている弟がいる。そして現在、2009年に至っており、その年に湿原で青い目の青年が殺害される。比呂は釧路の刑事になっていて、先輩刑事・片桐とともに捜査を進めることになる。 冒頭にも描かれているが、戦後の樺太からの引揚が事件やその背景に絡んでいる。 被害者は生前、出生の秘密を探っていたのか、種々の聞き込みを行っていた。 事件のキーと思われそうな、被害者ではないある人物にスポットが当てられ、その人物のルーツを探っていくようなスタイルには魅かれる。なかでも後半、とある人物の引き揚げ後の生活の描写は、そこだけ読んでもけっこう楽しめた。 壮大でかつ、少しどろどろとしたミステリーを期待させてくれたが、読み終わってみれば、壮大さも、どろどろさも中程度。すっきりしないところもある。動機面なのかなあ。 |