home

ミステリの祭典

login
イノセンス After The Long Goodbye

作家 山田正紀
出版日2004年02月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 虫暮部
(2025/04/25 12:41登録)
 押井守のアニメ映画『イノセンス』の前日譚、と言う企画作品。物語だけ追えば、公安九課 vs テロリストのアクション・ストーリー。ただ妙に重い。それがキャラクターの鬱屈によるものなら良いんだけど、どうもサイバーパンク的要素の解説過多が主因に思われる。
 アニメなら見ているだけで判る(気になれる)事柄でも、小説では説明を省くと義体(サイボーグ)のキャラクターが人間離れした超人に見えてしまう。システム関連の設定も読者の楽しみのうちだし、元ネタ付きの作品なので気を遣って丁寧に書いたのかも知れない。
 その結果、アクションのスピード感を担保する記述のせいでスピード感が失われているような奇妙な状態になってしまった。

 エピローグにちょっとしたサプライズあり。しかし、作者はサプライズを意図したわけではない筈で、その件を事前にさりげなく教えてくれなかったのは寧ろ手落ちだと言える。と判断して書いちゃおう。“えっ、この人達は日本語で会話してたんだ!”

1レコード表示中です 書評