| ツミデミック |
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| 作家 | 一穂ミチ |
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| 出版日 | 2023年11月 |
| 平均点 | 6.50点 |
| 書評数 | 2人 |
| No.2 | 7点 | 虫暮部 | |
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(2026/02/13 17:08登録) 普通に良く出来たミステリ(風)作品集。この捻りはミステリ的反転に馴染みが薄い人にこそ刺さるのかも。このさりげなさは意外と貴重なものかも。 表題の造語は少々子供っぽいし、全編がそこまでコロナ禍ならではのプロットではない。そのへんは “あの時期を背景にした作品” と言う看板で新規読者を上手く(あざとく?)誘導したんだな、と言った感じ。 “ちょっといい話” に落ち着くものより、はっきり悪意が前面に出た「憐光」が良かった。 |
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| No.1 | 6点 | パメル | |
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(2025/04/24 19:40登録) 第171回直木賞受賞作で、コロナ禍という異常な状況下で直面する倫理的ジレンマを、ミステリと人間ドラマの両面から切り取った6編からなる短編集。 「違う羽の鳥」繁華街で客引きのバイトをしている主人公に話しかけてきた女性が、中学生時代に死んだはずの同級生の名前を名乗る。救いのないようでいて、かすかな光を感じさせる。 「ロマンス☆」近所でイケメン配達員を見かけたことから、彼が来ることを期待してフードデリバリーにはまる女性の話。破滅に向かっていく恐怖が味わえる。 「憐光」幽霊となって故郷に戻ってきた女性が、意外な真実を知る。語り口が魅力的な悲しい物語。 「特別縁故者」失業中の調理師の男が一人住まいの資産家老人に料理を届けるようになり、特別縁故者になる期待を抱くが、意外な成り行きが待っている。主人公の内面の変化と社会の歪みを絶妙に表現している。 「祝福の歌」母が一人で暮らすマンションの隣人の様子がおかしいという話。隣人の謎と同時に、主人公が自分に関する秘密を知る展開に胸を打つ。 「さざなみドライブ」ネットで繋がり集団心中のために集まった男女数人が、山中に向かう車内で自殺を望む理由を語り合う話。パンデミックの影響で人生を壊された人もいる中、主人公の動機があまりにも意外。 作中には、日本の4人組ロックバンド・スピッツの楽曲を連想させるタイトルや台詞が散りばめられているので、ファンにとっては嬉しい仕掛けではないだろうか。全体的に「罪とは何か」という問いを投げかけながら、最終的には人間の再生可能性に光を当てる構成になっている。 |
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