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ミステリの祭典

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魔女と過ごした七日間

作家 東野圭吾
出版日2023年03月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 SU
(2025/04/13 18:25登録)
元警察官の父を何者かに殺されて天涯孤独になった中学生の陸真が主人公。彼の前に円華が現れ、彼女や友人らと共に父の死の謎を追う。その先に見えてくるのが、最新のIT技術を利用した監視社会の闇。
国家による個人の管理と監視がテーマだが、本書はそこにDNAという個人情報の管理と、監視カメラの情報を基に個人を瞬時に特定できるAIシステムという世界を付け加える。作中ではその結果として、犯罪検挙率を向上させることに成功している。だが権力は、このシステムを本当に正しく運用しているのか。そうした疑惑が、陸真の父の死へも繋がっていく。
現実にも、私たちの個人情報は相当程度把握されている。本書が描くのはその先にある。権力による個人の監視と徹底した管理だ。作中のギャンブルやカジノを巡る議論も、やや唐突感はあるものの、人間がAIに管理されるのではなく、AIを使いこなし、うまく付き合っていくことは出来ないのかという問題提起をしている。

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