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ミステリの祭典

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無垢なる花たちのためのユートピア

作家 川野芽生
出版日2022年06月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 虫暮部
(2025/04/25 12:44登録)
 川野芽生は、たおやかな語り口で世界の糸を解きほぐす。
 表題作が他に比べて少々取っ付きにくく感じたのは、前者が少年達の物語であるのに対して、「白昼夢通信」は少女達、「最果ての実り」は男と少女、「卒業の終わり」は女達と男達の物語だからさ――なんて言ったら表層的で通俗的な消費の仕方だろうか。
 否、“性差” との苦闘はこの作者の根っこに位置する烙印だと思う。花は植物の生殖器なのである。気怠く甘い白昼夢も、一歩引いて見るとそれを見ていること自体が怖い。

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