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ミステリの祭典

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家庭教師は知っている

作家 青柳碧人
出版日2019年03月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 SU
(2025/03/24 21:19登録)
主人公は、首都圏に教室を持つ家庭教師派遣会社「SCエデュケーション」に勤務する原田保典。原田は半年前、鬼子母神の境内で被虐待児と思しき女児を保護し、児童相談所に駆けこんで女児を救ったことから、全教室内で有名人となっていた。
物語は、原田が主任として勤務する池袋教室を舞台に、何らかの異変の匂いを嗅ぎ取った担当の家庭教師から報告を受ける原田が、その異変の正体を明らかにしていく、というのが物語の縦糸。横糸は、原田自身のトラウマで大学時代時、自宅のアパートで卒論制作の最中に、ふとしたことから向かいのアパートで児童虐待が行われていることを知ってしまうものの何のアクションも起こさず、その児童を助けることをしなかったことだ。この縦糸と横糸の絡ませ方が巧い。
収録されている5編の連作は、どれも日常の謎系の優れたミステリであると同時に、児童虐待を含む問題も描かれている。一編ごとに深いテーマがあり、それぞれに読み応えがあるが、読後にはほろ苦さの先に垣間見えるものがある。

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