home

ミステリの祭典

login
午前零時の評議室

作家 衣刀信吾
出版日2025年03月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2025/07/01 22:28登録)
大学生の美帆に届いた裁判員選任の案内状。記載された被告人の名前に聞き覚えがあったが、それはアルバイト先の羽水弁護士事務所が担当する事件だった。事前オリエンテーションとして担当判事に呼び出された裁判員たちに、通常とは違う異例の事態が訪れる。一方、弁護士の羽水は検察のストーリーに疑問を抱き、見逃された謎に着目する。被害者の靴下が片方だけ持ち去られたのはなぜか? それを元に事件の洗い直しを始めるが……。
現役弁護士が仕掛ける伏線の数々……あなたはいくつ見破れる?
Amazon内容紹介より。

第28回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
硬質な文体で描かれる、どこかでお見かけした事がある様な展開で、新しさは感じられません。一応、最初に裁判員裁判制度の問題を提議している辺りは、社会派を思わせますが、最終的にゴリゴリの本格ミステリであることがはっきり解ります。数々の伏線を回収し、逆転に次ぐ逆転を見事に演じて見せて、少々胸やけがする思いすらします。

あれこれ盛り過ぎな感もしますが、大きな齟齬は見られず、なかなかの力作だと思います。ただ舞台が固定されているので相当な閉塞感は否めません。それは息苦しくなる程で、緊迫感も半端ではありません。
細かすぎて伝わらない伏線選手権があれば断トツかも。

1レコード表示中です 書評