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ミステリの祭典

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消えた人妻
元フロリダ州検事局捜査官ルー・フォネスカ

作家 スチュアート・カミンスキー
出版日2004年09月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 人並由真
(2025/03/06 07:09登録)
(ネタバレなし)
 フロリダ州のサラソータの町。「おれ」こと42歳のイタリア系、ルー(ルイス)・フォネスカは、以前は州検事局の捜査官だった。だが3年半前に愛する妻を当て逃げで殺され、今は召喚状を送達する業者として日々を送っていた。ルーは兼業として過去の経験を活かし、探偵稼業を営んでいる。そんなルーのところに、別途の二件の人探しの依頼があった。ひとつは離婚した父親の元に行った14歳の少女アデルを捜してほしいと願う母親ベリルからのもの、そしてもうひとつは年配の不動産業者カール・セバスティアンからの、出奔した美しい若い妻メラニーの捜索願いだった。だが捜査のなかで身体の危機を感じたルーは、72歳の友人エームズ・マッキニーの協力を得るが、そんな二人の前に思わぬ死体が転がる。

 1999年のアメリカ作品。
 作者の4人目のレギュラー探偵ルー・フォネスカものの、長編第一弾。
 結論からいえばかなり面白かった(登場人物の書き分けとか、中技や小技の効いた、ストーリーの組み立てとか)。
 特に冒頭でいきなり主人公と老人の友人が死体(読者には誰かわからない)に出くわし、そのあと物語の時勢が過去に戻って、延々と序盤の興味(で、誰が殺されていたんだ?)を引っ張る構成とか。ニコラス・ブレイクの『雪だるまの殺人』みたいだ。

 特に二つの捜査のうち、片方はクライマックスまでに段階的に決着するが、もうひとつは、エピローグになるかならないかまで収束の仕方が判然としない。そして最後の最後に、かなりの大技で決める。
 いやまあ、作者の職人作家的な手際をたっぷりと堪能させてもらいました。

 最後の一行も作者が狙いまくった文芸なんだけど、余韻があっていい。
 これはいい近年の私立探偵(まあ広義の)シリーズ……と思いきや、原書では長編が6冊書かれたこのシリーズ、翻訳された長編はこの一冊だけだそうで(怒)。まあフォネスカ主役ものの短編は、いくつか翻訳ミステリ誌とかに訳されてるみたいだけど。

 そーいえばトビー・ピータースものも原書では24冊あるなか、翻訳されたのはたった長編が5つなんだよな。
 で、Wikipediaを見ると、才人カミンスキー、20世紀の終盤にはあの『ロックフォード(氏)の事件メモ』のオリジナル小説なんかも書いてたそうで、この数日ネットで得た情報のなかで、ソレがいちばんぶっとんだ。

①ロックフォードのオリジナル小説
②ルー・フィネスカものの第二冊目
③トビー・ピータースものの未訳作

その優先順位で、カミンスキー作品、どっかの出版社で、ぜひともどんどん出してくれ。
とりあえず気長に待つわ。当てにしないで。

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