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ミステリの祭典

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きみはサイコロを振らない

作家 新名智
出版日2023年05月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 虫暮部
(2025/03/21 13:27登録)
 ネタバレあり。
 水彩画の如き淡い筆致のミステリアスなホラー、を狙っているならそれは実現出来ている。が、それ故に薄味で小粒な印象を残してしまうジレンマ。

 少々引っ掛かる点がある。【小坂さん→シュウさん】と連鎖する呪いの流れがある。その上で更に、【シュウさん→語り手】の流れだと思われたが、実は【雪広→語り手】の流れだった。葉月さんのところで交差しているように見えるのは、莉久が共通の知り合いであるからと言うだけの偶然である。
 と言うことだよね。それが或る種のサプライズの部分だと思うけれど、読者に伝わり易く説明されていないし、ラストの成り行きもその認識を強く踏まえたものにはなっていない。
 “非科学的事象に関する論理的な説明” を求めるのも変だが、本作に関してはそのへんを理詰めでキッチリさせてこそ、最後の最後に残る理不尽が生きるのではないかと思う。

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