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ミステリの祭典

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康子は推理する
滝口康子 「そんな筈がない」と「青髭殺人事件」の合本

作家 藤沢桓夫
出版日1960年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 nukkam
(2025/02/19 04:43登録)
(ネタバレなしです) 藤沢桓夫(ふじさわたけお)(1904-1989)は200冊近い著作を残し、いくつかの作品は映画化もされたほど人気のあった大衆作家です。医学生の滝口康子を探偵役にした本格派推理小説の短編を8作書いており、「そんな筈がない」(1957年)と「青髭殺人事件」(1959年)の2つの短編集で全作を読むことができます。私が読んだのは全8作を1冊にまとめた東京文藝社版の「康子は推理する」(1960年)で、先行出版の2つの短編集を読んでいる読者は本書を読む必要はありません。康子はデビュー作品となる「そんな筈がない」では百貨店の屋上庭園から投身自殺したと思われる事件で自ら積極的に警察の捜査に協力していますがこれはむしろ例外で、犯罪に関わるのも名探偵扱いされるのも遠慮するキャラクターとして描かれています。大衆作家らしく読みやすさは抜群で、謎もそれほど複雑なものではありませんがその中では「爆竹殺人事件」が密室殺人を扱い、謎解きのスリルにあふれていて印象に残りました。

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