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ミステリの祭典

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円周率の日に先生は死んだ

作家 ヘザー・ヤング
出版日2023年04月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 YMY
(2025/02/12 21:37登録)
三月十四日という円周率の日に、貧しい中学生サルが、通学路で焼死体を発見する。死んでいたのは、街での大学教授を辞して片田舎に数学教師としてやってきたアダム・マークルだった。サルの態度に不審なものを感じた社会学教師のノラは、アダムの死を探り始める。
サルのパートはこれまでの数か月間を主に描き、ノラのパートは事件発覚後に彼女が行う調査を主に描く。この両面から、アダムの実相が徐々に姿を現すという寸法だ。サルは、いわばアダムに関与した、または関与された人物であり、事件関係者だ。一方、ノラは探偵役と言って差し支えない。ただし、ノラの視点だけ読んでも真相は見えてこないし、サルの視点だけではアダムの人生の全体像は完成しない。なかなか上手い機能分担と言える。
サルとノラがそれぞれ抱える深刻な事情が、物語に立体的な陰影をつけ、貧富の差、地域格差をも活用し、哀しい真実を炙りだす物語に仕上げている。しかし、小説としては優れているが、、ミステリとしては弱いので物足りなさが残る。

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