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ミステリの祭典

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カンブリア 邪眼の章
警視庁「背理犯罪」捜査係

作家 河合莞爾
出版日2020年03月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2025/02/06 22:25登録)
三鷹の賃貸住宅で若い女性が死亡した。当初は急性心臓死と思われたが、尾島警部補と相棒の閑谷巡査は過去にも同じ部屋で女性の突然死があったことを突き止める。だが怪しいと踏んだ大家・水田をいくら調べても、証拠は出てこない。感じたことのない奇妙な感覚を覚える中、尾島はこの事件の鍵を握る青年と出会い……。
Amazon内容紹介より。

以前も他の作品で書きましたが、この作者はリーダビリティに非常に優れており、今回も一部の隙もなく一切の無駄がない文章は見事としか言いようがありません。丁度良い緊迫感を持って物語は進み、登場人物のそれぞれが個性的で人間も確りと描かれています。
密室も出て来ますが、本格ミステリとは違いますので、トリック云々という話になると残念ながら期待は禁物です。それでも面白いのは、正義感に溢れる刑事達の姿に胸を打たれるからです。最初から最後まで存分に楽しむことが出来ました。

法律で有罪とすることの難しい案件を扱っています。ですから、それじゃ何でもアリじゃんと云った意見も理解出来ますが、本作に於いては其処に眼目が置かれている訳ではないので、その辺り許容できない方は読んでも物足りないかも知れません。特に本格志向が高いほどその傾向は強くなると思いますので、ご注意下さい。それでも私は本書が嫌いになれません、私は好きですね。

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