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ミステリの祭典

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霧の中の天使
霧シリーズ/改題『霧の中の悪魔』

作家 笹沢左保
出版日1983年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 人並由真
(2025/02/02 07:31登録)
(ネタバレなし)
 大手企業「ムーンスター電器」。家族のほぼ全員が同社または系列会社に所属する木之元家の次女で24歳の絹子は、ムーンスターの御曹司で42歳の駒沢一男に見初められて婚約した。絹子も駒沢もともに結婚歴のある、いまは独身者であったが、絹子には彼女自身も実態を見定めきれぬトラウマが原因で性的不感症という悩みがあった。駒沢の妻として、のちのち健常な夫婦生活を送れないと不安を抱いた絹子は、かつての愛人で36歳のインテリアデザイナー・香取邦彦に相談。駒沢との挙式の日までの間、香取によって女の真の悦びを得られるように性的なトレーニングを受けるが、やがて事態は隠されていた事件に結びついていく。

 作者の中期では割と評判がいい? 『ふり向けば霧』と同系列の「霧シリーズ」、その1作目だそうな。評者はもともと『ふり向けば』を読もうと思っていたが、どうせなら一冊目からと思い、図書館で借りてきて、こっちから読んだ。

 元版のノン・ノベルで読了。5分の4が官能描写ではなかろうかという、例によっての笹沢ロマン。それもそっちの方向でかなり上位の方だが、主人公ヒロインと相手の彼氏はあくまでマジメなので、あんまりエロくない。
 「長編サスペンス推理小説」と銘打ってあるが、読者は最後の方でいきなりそれまで秘匿されていた情報を、主人公といっしょに教えられてジ・エンド。
 真犯人に関しては、作品をミステリ枠に押し込むため、あれこれ都合のいいキャラクターにされた感じで、ちょっと気の毒である。
 意外性? いや特に。

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