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ミステリの祭典

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赤外音楽

作家 佐野洋
出版日1983年04月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 クリスティ再読
(2025/01/20 20:17登録)
NHK少年ドラマシリーズといえば、1972年の第一弾「タイム・トラベラー」が伝説的な作品でもあり、また「暁はただ銀色」「夕ばえ作戦」などジュブナイルSFの名作を映像化したこともあって、SFが目立つことになってしまっている(実はSF偏重はなくて一般的な児童文学が多い。ミステリだと「蜃気楼博士」をやっている)。そんな中で「トラウマ的名作」の誉れが高いのが本作。ジュブナイルSFだけども原作は佐野洋。

「青きドナウだ」...しかし、ラジオから流れた奇妙な音楽は、聞こえる人と聞こえない人がいた。高校生の法夫は放送が求めるままに、その不思議な音楽が聞こえたと伝えるはがきを「ミュータント研究所」に送った。すると「Rボックス」と呼ばれる装置が送られてきた。その装置はやはり他人に聞こえない不思議な音声によって、法夫に「次の日曜日正午ごろに東京タワーの近くへ行け」という指示を伝える。東京タワーで集まった人々は不思議な研究所に連れていかれて...

こんな導入。人間には見えない赤外線になぞらえた、「特殊な人にしか聞こえない音」をモチーフに、東京タワーで知り合った少女の失踪を絡めてSFスリラー的に展開する。けどね、原作では尻切れとんぼみたいにあっさり終わってしまう。ドラマでは、地球滅亡とミュータントの話を絡めた終末モノになって、これが視聴者にトラウマを植え付けたことで有名なんだよね。シナリオライターが頑張ったのか、それとも佐野洋の原作が打ち切りを喰らったのか、謎である。

というわけで、原作はいいところでブッタ切りで終わるという大変情けない状態。それでもドラマに免じて甘くしたい(苦笑、しっかり見た記憶はないんだが、「青きドナウ」の話をちゃんと覚えている...懐かしくて取り上げる)

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