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ミステリの祭典

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君といた日の続き

作家 辻堂ゆめ
出版日2022年10月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 びーじぇー
(2025/01/05 20:21登録)
八〇年代から二〇二二年にタイムスリップしてきた少女ちぃ子を、中年男性の友永譲が保護し、一時同居する物語である。
友永の一人称で進む本作のポイントは、友永が幼い娘を亡くして妻とも離婚し、引きこもり気味の孤独な生活を送っていることである。彼は明らかに、娘の死を契機に虚無感を抱えている。仕事はして日々の糧は得ているものの、妙に達観した一人称叙述には、世捨ての雰囲気が色濃い。そんな彼の生活に、亡き娘と近い年頃の少女が加わり、色褪せた暮らしが急に色鮮やかになったかのような空気の変化が見事に活写される。
楽しい生活の描写は、どうしようもない切なさや儚さを堪えていて素敵である。そして中盤で、ちぃ子と友永の意外な関係が判明し、物語は更に深化する。だが作者は終盤でさらにもう一段、ダメ押しの展開も用意している。相当量の伏線に支えられた意外な真相が提示された時、タイトルの真の意味が明らかになる。物語の余韻も美しい。

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