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ミステリの祭典

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クラックアウト

作家 長沢樹
出版日2023年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 猫サーカス
(2025/01/04 18:31登録)
池袋の北口一帯がチャイナタウン化しているとよく言われるが、本書では一歩進んで、中国系反社組織・玄武と暴力団・久和組が抗争したあげく支配者なき「空白領域」になっている設定。だが今、シェンウーの会長が死に瀕し、跡目争いが表面化しつつある中、アイドル出身の女優がシェンウー子飼いの殺し屋・送死人によって殺されたことから新たな抗争の火ぶたが切って落とされる。物語の視点人物は主に二人。その構想を取材するライターの三砂瑛太、女優殺しとそれに続く一連の事件を追う警視庁組織犯罪対策部特別捜査隊の鴻上綾。三砂はだが五年前、組織の麻薬流通ルートを壊滅させたことでシェンウーに捕まり送死人にさせられていたのだった。一方、鴻上はその五年前の事件で父親が殉職しており、彼が追っていた送死人を目の敵にしている。追う者と追われる者が織り成すシンプルな対決劇のようだが、そこに第二の暗殺者が現れて場をかき回し始めるので、事態は混迷を深めていく。アクション演出の切れ味、送死人が犯行に謎を凝らしたハウダニットとフーダニットの妙が楽しめる。

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