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ミステリの祭典

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再愛なる聖槍

作家 由野寿和
出版日2022年12月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2024/12/28 22:11登録)
妻との離婚以来5年ぶりに会った愛娘とともに、
テーマパーク・ドリームランドを訪れた元刑事の仲山。
楽しい時間は束の間、2人が観覧車に乗った直後、
何者かによって観覧車が乗っ取られ、人質となってしまう。
「小人」を名乗るジャック犯に連絡役として指名された仲山と娘・凛の運命やいかに。
そして、地上で事件解決の指揮を執っている貝崎は、5年前のクリスマスイヴに起こった
未解決事件に関して互いの秘密を握り合う因縁の相手で――。
絡み合う二つの事件とそれぞれの思惑。
ドリームランドを象徴する巨大観覧車に隠された衝撃の真相とは。
Amazon内容紹介より。

只の虚仮威しではありません。スケール感はそれ程壮大な訳ではありませんが、それよりも緻密な構成と主要登場人物の心理描写が光る逸品です。ただ、所々言葉のチョイスや語彙の貧困さが目立つのが欠点と言えば欠点でしょうか。お前が言うなというか、私の方が余程文章が稚拙なので人の事は言えませんが、一応相手はプロの作家なのでね。

サスペンスの割にはミステリ要素も結構あり、伏線回収やタイトルの意味が最後の最後で理解できる仕掛けになっています。
前述したように文体にやや難があるものの、決して読み難い訳ではなく、一般読者にも広く受け入れられる作品だと思います。ポイントとしては過去に何があったのか、です。その因縁が絡み合って生々しい人間関係が生まれ、それぞれの立場から事件を起こした者と、何故このような大仰な観覧車ジャックなどを実行したのか、犯人は誰なのか、この事件の裏に何があるのかを追う警察の対立が一番の読みどころです。そして最後に残るのは正義か愛か・・・。など興味が尽きません。

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