home

ミステリの祭典

login
狂ったシナリオ
キャロラス・ディーン ROM叢書

作家 レオ・ブルース
出版日不明
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 nukkam
(2025/01/15 23:34登録)
(ネタバレなしです) 1961年発表のキャロラス・ディーンシリーズ第10作の本格派推理小説です。ダイイング・メッセージというと殺された被害者が死に際に語る(或いは書き残す)というのが通常ですが、本書の場合は自殺した(らしい)人物が録音で残したというのが非常に珍しいです。しかもそのメッセージの中で誰かを殺したことを語っているのです。同じ作者のビーフ巡査部長シリーズの「死体のない事件」(1937年)を連想させる設定ですがあちらのような被害者探しがメインのプロット展開にはならず、自殺(らしい)事件の状況調査にページの多くを費やしています。登場人物が20人以上もいるので雑然とした感があるところは「怒れる老婦人」(1960年)と共通していますが、第19章の最後でのキャロラスのせりふはインパクト大です。某英国女性作家の1980年代の本格派作品を彷彿させるどんでん返しの真相説明も非常に印象的です。

1レコード表示中です 書評