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ミステリの祭典

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悪夢 ウールリッチ傑作集

作家 コーネル・ウールリッチ
出版日1980年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 人並由真
(2024/12/26 04:48登録)
(ネタバレなし)
 表題作の中編『悪夢』と5本の短編で構成される、ポケミスの中短編集。
 1956年に原書で同題『NightMare』という短編集が本国で刊行されているが、ポケミスがこの原書の収録作を、丸々訳したものかは未詳。
 一応、ポケミスの巻頭には、ドッド・ミード社の56年の原書の翻訳権所有のお断りがある。

 以下、各編の内容についてメモ&寸評
①「悪夢」……無自覚なままに殺人をしてしまったのではないかと、怯える男「私」が主人公。副主人公が男の妹の亭主の刑事で、起伏の豊かなストーリーがサスペンスフルに語られる。それなりに面白いが全編で80ページはやや長めで、さらに(時代ゆえに仕方がないが)作者は(中略)を万能視しすぎ。

②「形見」……創元のアイリッシュ短編集1に『遺贈』の題名で入っているらしいが読んだ記憶がない。後半、良くも悪くも、アイリッシュ(ウールリッチ)というよりはスレッサーみたいな感じ。

③「借り」……これも創元のアイリッシュ短編集の6に、こっちと同じ邦題で入っているらしい。やはり読んだ覚えがない。若手刑事が死にかけた自分の娘をひとりの男に救われるが……という話。もうちょっと長くてもいいかとも思ったが、ラストの舌触りの味はいかにもこの作者っぽい。

④「スクリーンの中の女」……映画撮影現場での殺人。作者がよく描く、主人公が若手(青年)刑事路線のひとつで、殺人方法、犯人、伏線、ラスト……と普通のミステリっぽい話。これはこの短編集でしか読めない作品。

⑤「家まで送ろう、キャスリーン」……これも創元のアイリッシュ短編集6に収録(「送っていくよ、キャスリーン」)。たぶん読んでるはずだが内容を忘れてた。こんな話だっけ? という感じ。冒頭が『幻の女』を思わせる書き出しなので、原型か? とも思ったが、冤罪をかけられるメインキャラという以外、あまり関係はない。読みごたえはある短編。

⑥「午後三時」……やはり創元のアイリッシュ短編集6に収録(「三時」)。さすがにこれは強烈なサスペンスとアレなオチで覚えていた。ある種の作劇パターンの元祖かもしれない。

 ……というわけで、ウールリッチ(アイリッシュ)の邦訳短編をコンプリートで読みたいファンは、④のみを読むために手にとってください。①も既訳があるけど、ほかの邦訳短編集には入っておらず「別冊宝石」に載ったきりみたいだから、大方の人はここで読めばいいだろうと。
 
 ①がちょっと冗長で(それなりには面白いが)、大昔に読んで内容の記憶がいまなお鮮明な⑥以外の②~⑤はどれも楽しめた。ベストは僅差で③かな。④と⑤もいいか。

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