home

ミステリの祭典

login
シェーン真相を追う
私立探偵マイケル・シェーン

作家 ブレット・ハリデイ
出版日1963年01月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 人並由真
(2024/12/07 05:02登録)
(ネタバレなし)
 1952年のマイアミ。すでに地元で名探偵として名士になった赤毛の私立探偵マイケル・シェーンは、その日、競馬を楽しんだあと、夜分に自宅のアパートに帰宅した。そのシェーンのもとに、一番最初の脅迫めいた物言いを含めて立て続けに数件の電話があり、最後の内容は自身の身の危険を訴える女のものだった。シェーンがその女ワンダ・ウェザビイのもとに向かうと、彼女はすでに射殺されている。シェーンが調査を進めると、ワンダはプロの恐喝者らしいことが判明。彼女に強請られていた相手の中に、殺人者はいるのか? 被害者から、万が一の場合は自分を殺した犯人を暴いてほしいと1000ドルの小切手を預かった形のシェーンは、裏の手段を交えながら捜査を続ける。だが、事件は新たな展開を見せた。

 1952年のアメリカ作品。シェーンシリーズの長編、第21弾。
 
 2024年12月上旬現在、Amazonにレビューがひとつあるが、余計なヒトがメイントリックのキーワードをネタバレしてるので(怒)、そっちは見ないように。
 大分前にその評をたまたま見てしまったおかげで興が冷めて放っておいた一冊だが、思う所があって昨夜読み始めた。

 ただまあ、トリックを先に知っていても、終盤まで犯人はわからず(いや本当なら、ちょっと考えて確かにわかるべきなのだが……・汗)、そのおかげで結局はなかなか楽しめた(笑)。伏線もちゃんと張られているが、動きの多いストーリーの中にそれを巧妙に(だろうな?)埋め込んである。
 この1952年の時点ですでにいくつも前例があった(中略)だが、描写はかなり丁寧で、50年代初頭当時の素直な読者の中には結構な驚きを感じた人も多かったんじゃないか? と思う。
 事件の背景として、大衆向けの放送文化の中心がラジオからテレビへと切り替わる世相も描かれていて、そこら辺の時代の空気も興味深い。
 
 2020年代に読んだら何ということはない旧作の私立探偵フーダニットでしょ、と言われればたぶん全くその通りだろうが、つづら折りに紡がれるストーリーの中にパズラー的な骨格が埋め込まれた作りは、なかなか面白かった。正編シェーンシリーズの安定期というか円熟期の作品だろうが、手慣れた職人芸を感じさせる佳作~秀作。

 ポケミスの146ページ、出会った登場人物のひとりに私立探偵ならネロ・ウルフみたいなものだろ、と問われたシェーンが「ちょっとちがいがあるだけさ」と返すギャグには笑った。 
 実質6.5点かな? ファンなのでちょっと評点はおまけ。相変わらず実に居心地のいい作品世界だ。

1レコード表示中です 書評