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ミステリの祭典

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寒波 P分署捜査班
<P分署捜査班>シリーズ

作家 マウリツィオ・デ・ジョバンニ
出版日2023年02月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 麝香福郎
(2025/06/19 20:29登録)
ナポリが舞台のP分署捜査班シリーズ第三弾。
ピッッォファルコーネ署は、過去の不祥事ゆえ廃止の瀬戸際にある。このため署に集められた刑事は全員訳ありではみ出し者だ。
本作では、同居する若い兄妹が自宅で殺害される事件がメインとなる。捜査が進むにつれて亡き被害者、特に妹の人生と性格とが鮮やかに立ち現れる。捜査対象の人々の人生模様が交錯する一方、レギュラー陣の人生も起伏が激しく、一筋縄では行かない。今回もモジュラー型の警察小説はかくあるべきというお手本のような作品。

No.1 5点 猫サーカス
(2024/11/23 17:33登録)
ナポリのピッツォファルコーネ署は曰く付きの分署である。刑事たちが押収した違法薬物を密売していたのだ。新署長のパルマが就任し刑事課も一新され、ひとまず分署の廃止という事態は免れた。だが新たに加わった刑事たちは、他の署で問題を起こした鼻つまみ者ばかりだった。マフィアとの癒着が疑われ、シチリアから配転されたロヤコーノ。容疑者に過度な暴力を振ったロマーノ、署内で発砲事件を起こした女性刑事アレックス、常軌を逸したスピード狂のアラゴーナ。この面々を見れば世界が彼らをP分署のろくでなしたちと呼ぶのも無理はない。今回彼らが扱うのは、アパートの一室で兄妹が殺された二重殺人事件と、中学生の娘に対する父親の性的虐待事件である。彼らの失敗を願い、署の廃止を画策する勢力に抗いながら、限られた日数のもとで、ろくでなしたちが事件解決に挑んでいく。捜査のパートだけではなく、別居中の妻に対する妄念と暴力衝動や、威圧的な父と自身のセクシャリティなど、彼らが抱える問題や悩みにも充分に筆が割かれている。

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