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ミステリの祭典

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つつましい英雄

作家 マリオ・バルガス=リョサ
出版日2015年12月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 YMY
(2024/11/05 22:26登録)
物語は二筋に分かれており、一方は運輸業者の男がマフィアのものと見られる置手紙により、みかじめ料をよこせという脅しを受ける。もう一方は、会社経営者の骨肉相食む争いの物語で、娘ほどの年の離れた女性と結婚した富豪と、それによって相続権を失った息子たちとの反目の間に挟まれた男が主役となる。
両方に共通するのは、善良な魂の持ち主が悪意の塊によって脅かされるという構図で、屈せず正義を貫こうとする者たちが小説の主人公になるのである。彼らの倫理観はあまりにも苛烈で独善的だが、その距離感が魅力的で、悪とそれに対抗する者たちの動きが広壮な構図で描かれるという面白さがある。

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