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ミステリの祭典

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5分後に犯人に迫るラスト
エブリスタ編 5分シリーズ

作家 アンソロジー(出版社編)
出版日2022年02月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 斎藤警部
(2024/10/28 01:23登録)
響かなかったトランペット/倉海葉音
卒業を迎えた吹奏楽部長が、突出した才能を棄て引退してしまった後輩を呼び出したのは、過去の不可解な事件を検証するため。 反転返しの結末にうっすら漂う連城スピリット。

壊れた傘は歌わない/千國響香
貴族の養女となった女の他殺屍体が見つかる。 傍らには宝飾が施された豪奢な傘の残骸。 人情派の古典真相。

神様の声/藤月
サイコキラーを追い詰める “歳の差” 男女バディ。 展開の意外性を味わう暇も無く、呆気ない反転。 刑事二人の関係描写に旨味。

クローン探偵と最後の歌姫/雲灯
逃亡した “花形オペラ歌手のクローン” を連れ戻して欲しいと依頼を受けたのは或る “クローン探偵”。 熱い逆説と、寂しく冷たいエンディング。

時効/潜水艦7号
時効が迫る金塊盗難事件を追い続ける、早期退職間近の刑事と、それを見守る上司。 いやあ、これはアレじゃないですか、やられちゃいました。 やけに明るい希望の香るラストが良いね。

あなたに一輪の花を/東堂薫
新進スターの舞台女優が舞台裏で首を絞められ、首飾りが盗まれる。 周りには俳優陣含め怪しい人物が数人。 彼女には毎日、白い薔薇が贈られていた。 古典的人情譚で憎めない結末。

言えなかった言葉/仁矢田美弥
事故で記憶を失った女は、優しく迎え入れてくれた夫への違和感をぬぐい切れない。 彼女は、気分転換に散策していた街中で “以前貴女とお付き合いしていました” という男に遭遇。 いわゆる「〇〇ネタ」を上手に調理。

勿忘草(わすれなぐさ)の呪い/瀬良有栖
若い貴族の女が “欠落した或る記憶” を取り戻すため、執事と共に山を越え困難の末、高名な “魔女” を訪ねる。 おかしな言い方だが “ファンタジー日常の謎” と呼べるかも知れない。

八神探偵の事件簿~山下公園の首切り魔~/猫宮ほのか
山下公園で一息つく男子受験生に近付いて来たのは、医者である父親が雇った新しい家政夫。 最近この辺りでは “首切り殺人事件” が頻発している。 なんなんだこの、ダーク荒唐無稽な展開は・・・


小説投稿サイト 『エブリスタ』 に投稿された優秀作品に “大幅な編集を施した” というショートミステリ9篇。
「全国学校図書館協議会選定図書」 との事だが、こどもたちにこんなもの読ませて大丈夫か ・・ と危惧しなくもない作品がちょっとだけ混じる。

さいきん娘がよく読んでいる 「5分シリーズ」。 私もたまに覗いてみるけれど、中でもこの本はタイトル通りガチなミステリ短篇集。 思わず唸るような作品は見当たらないけれど、大人もそれなりに堪能できる一冊です。

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