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ミステリの祭典

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連鎖

作家 黒川博行
出版日2022年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 猫サーカス
(2024/10/15 18:20登録)
食品卸会社を経営する篠原紀昭が失踪したと妻の真須美から届け出があった。経営は順調ではなく、一度目の不渡りを出した直後であり、闇金業者からも脅されていたという。自殺の恐れがあるということで特異行方不明者として書類を受理。京橋署暴犯係の刑事・上坂勤と磯野次郎は、応対したいきさつもあって捜査を担当するが、翌日になって高速道路に駐められた車の中から、篠原の服毒死体が発見される。二人は事件の背後に手形のパクリ屋など反社会的勢力が関係していることを知る。そして足で稼ぐ地道な聞き込みと、Nシステムなどハイテク捜査の両面を駆使して、失踪から死体発見までの篠原の足取りを追い、空白の時間を埋めて、ついに自殺説が濃厚だった見立てをひっくり返す。このリアルな捜査過程の描写が圧巻。さらに当然のことながら、二人の会話が楽しい。悪徳警官ではないバディものは、初期の大阪府警シリーズと通底する味わいがある。

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